ダミーロードマッチングアンテナの正体
アンテナのマッチングにダミーロードを使う方法は以前にも紹介しましたが、詳しいデータを取得したので解説します。
このデータはダミーロードマッチングアンテナ(以下ダミーロードアンテナ)と釣り竿アンテナを比較したデータです。エレメント(5m)は逆L型に配置し同じもの使用しています。
各バンド10個の受信データを平均したものです。コンデションの変化もあり絶対的なデータではありません。参考程度にみてください。
残念ながら、3.5MHz日中のためデータの取得が出来ませんでした。
釣り竿アンテナはMFJ-902Bで毎回マッチングを取っています。
1/4λ以下の7、10MHzでは6~14dbの差があります。
それ以上の周波数では差が少なくなっており、体感的にはダミーロードの方が3~5db低い感じです。
なお、相手の電波も低くなるので、アッテネータを挿入した場合と同じ効果があります。
元データはこちら
【ダミーロードアンテナの正体】
同軸ケーブルとダミーロードの心線にエレメントをつなぐ形になります。
すると接続点で不整合が発生しコモンモード電流が流れます。
このコモンモード電流がエレメントに伝わって電波として放出されます。
なお、コリニアアンテナアンテナなどもコモンモード電流を利用したアンテナがあり、ダミーロードアンテナだけが特殊ではありません。
実測値で10~30%の電力がエレメントに伝わります。
エレメントの長さが1/4λのときインピーダンスが最小となるため、VSWRは少し高くなります。
また、それ以外の周波数ではエレメントからの反射がありますが、反射された電力もダミーロードで
吸収されるので、結果的に無線機側から見たVSWRは1~1.5の範囲に収まります。
【注意事項と運用方法】
- ダミーロードアンテナは広帯域です。無線機内で発生した不要電力も外部に出て行く可能性がありますので、電波障害には気を付けてください。コモンモードフィルターが必要になるかもしれません。
- 送信電力の大半はダミーロードで消費します。従って、ダミーロードの規格内(連続運転)で運用してください。
- 本来アンテナはマッチングして使うものです。しかし、災害などで緊急の場合マッチングを取る手段が無い場合を想定してこの資料を公開します。災害発生後、マッチングを取る余裕が出来たら正規の運用に切り替えてください。
以上
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