ピカロード「ホタル君」について
ハムフェア2020に頒布するネタで変わりダミロードの話がました。
昔適当に作った豆電球型ダミーロードを何とか物に出来ないかと試行錯誤し「ホタル君」を完成させました。
■電球型ダミーロードとは?
かなり以前、ダミーロードになる無誘導抵抗は高価でした。
また、10~100(W)に耐える抵抗器も高価で大型になるため、100(V)用白熱電球が代用されました。
■電球は何を選べ場良いか?
電球の規格は電圧と電力(電流の場合もある)が記載されています。
50(Ω)で100(V)ならP=E×E÷R=100×100÷50=200(W) と単純には行きません。
なぜなら、無線機の出力は変調が掛かっているため、100(V)ピッタリの電圧にはなりません。
もう一つの問題として抵抗値は温度によって変化するという事です。
(金属は温度が上昇すると抵抗値が増加する)
先ほどの例では100(V)で50(Ω)になりますが、それより低い電圧では抵抗値が下がります。(平常時は5(Ω)程度)
電力を投入してから抵抗値が安定するまでの間に、高いVSWRとなってリグを壊さないような「電球」を探さなくてはなりません。
■QRP用電球の選択
今回はQRP用ということで、1~2(W)の電球を調べてみました。
定格電圧 | 電力(W) | 初期抵抗値(Ω) | 定格時抵抗(Ω) | 評価 |
2.5(V) 0.5(A) | 1.25 | 1以下 | 5 | 抵抗が低い |
8(V)0.25(A) | 2.0 | 2 | 32 | 抵抗が低い |
12(V)0.1(A) | 1.2 | 28 | 120 | 範囲内に50(Ω)のポイントがある |
18(V)0.11(A) | 1.98 | 50 | 164 | 初期抵抗高い |
※初期抵抗値はアナログテスターで測定
調査の結果12V電球(G-30H)が50(Ω)の範囲内に入ることが分かり電気特性を測定してみました。
(測定は高周波電流計がないので、直流で代用)
電球の抵抗値は非線形で有る事は知られています。
一般に発光している時の抵抗値は、発光していない時の約10倍になると言われています。
参考:http://neptmh.web.fc2.com/mht039/mht039.html
■G-30Hの周波数特性
電球の特性が書かれた記事はどれも直流(または商用交流程度の周波数)です。
元々、電球は高周波で使用する事を想定していないため、その特性は未知数です。
(もし文献が有った教えてください。)
出力ー13dBm程度のnanoVNAで測定しました。
VSWR 3.0~1.5程度です。
インピーダンスは73.5MHzまでは直線的に伸びていき、109.2MHz程度から一定になっています。
60MHz付近に共振点があります。50MHzでの各値は以下のとおりです。
R=83(Ω)、L=133(nH)、C=77(pF)
nanoVNAは出力がー13dBm程度なので、当然電球は光りません。
従って、抵抗分が低く自身のインピーダンスの影響が強く現れます。
その傾向はCAA-500MK2でも同様でした。
■ダミーロード作成
電球のブラケットのサイズが10mmあり、5D2VのM型コネクター(内径約11mm)と同程度です。
ピッタリサイズにはまるので、ハンダで芯線とブラケットを固定します。
電球は12VのE10型(G-30H等)を使用します。
■実際に無線機につないでみる。
FT-817NDとQRP用SWR計(QPM01)で測定してみました。
本体のSWR表示で確認したところ以下のとおりでた。
周波数帯 | FT-817NDのSWR表示 | VSWR |
1.8~50(MHz帯) | 0 | 1.5以下 |
144(MHz帯) | 3 | 1.7(推定) |
430(MHz帯) | 8 | 5.0(推定) |
1.8~50(MHz帯)で出力を変えながら測定したところ、0.05W~1.5Wの範囲で使用できる事が判りました。(SWR1.5以下)
1.2W以上は、電球の定格を超えるので短時間の使用に留めてください。
※QPM01:JL1VNQが頒布しているQRP用SWR計。測定可能なバンドは1.8MHzから50MHzまで、電力は0.1W~20Wまで測定可能。
※8(V)0.25(A)を使う事と、2W~3Wで使用することができます。(SWR1.5以下)
■命名について
試作品のダミーロードに素敵な名前を付けていただきました。
これからは、ピカロード「ホタル君」と呼びます。
ピカロード=光るダミーロード
ほたる君=ほのかに光る
■頒布について
ハムフェア等で頒布予定
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